4月4月(金)に、&tenna Lounge(東京・高円寺)にて、ゲイジュツの空き地が運営する「チラシラジオ」の、初となるオフラインイベント「チララジまつり、Vol.1」を開催しました。

「ゲイジュツの空き地」とは、文化芸術の創客につながるような取り組みを企画していく場所として2024年秋に始動したコレクティブです。「チラシラジオ」は、そこで実践する取り組みのひとつ。演劇やアートなどの芸術系のチラシについて、パーソナリティの視点から、デザインや情報面で気になったところ・おもしろいと感じたところを紹介し、文化芸術にふれる楽しみをシェアしていく試みです。
芸術のお仕事にたずさわる、観劇・鑑賞が大好きな “うすだ”と“こうちゃん”が、パーソナリティを務めています。ラジオのようにおしゃべりする気持ちでチラシの話ができればと、この名前をつけました。現在は、配信等は行わず、SNS(X・Instagram)の投稿にて、興味をもったチラシについてメッセージを寄せています。

Instagram:https://www.instagram.com/chirashi_radio/
チラシラジオを始めたのは2023年の4月。パーソナリティであるうすだ1人で発信を続けていましたが、1年ほど前から、こうちゃんが仲間入り。3年目を迎える2025年の春、交流の機会をもっとひらいていけたらと、オフラインでイベントを実施することといたしました。「チララジまつり」の後ろに「、(読点)」が付いているのは、こうちゃんのアイディア。SNSでは、パーソナリティからの発信が中心となってしまっていたので、今回のオフライン企画では、来場されたかたとじっくりおしゃべりができるようにと、対話の手を差し伸べるような願いを読点(、)に込めました。
会場は東京のJR高円寺駅から10分ほど歩いたところにあるコミュニティカフェ。大きな通り沿いに面しており、2階にはコワーキングスペースやレンタルスペースもあります。&tenna Loungeは、そのカフェの一角。150㎝ほどの白いボックス棚が2つ、その上には、掲示できる白い壁。横にはほっとひと息つけるような木の机と椅子が4つほど並べられていました。
「チララジまつり、」では、ボックス棚の上に、パーソナリティがこれまで集めてきた芸術チラシを、会期や上演された月毎にファイリングして並べました。パーソナリティの視点で特に気になったチラシについては、壁にコメントを添えて掲示。
「ついチラシをさわりたくなる/探したくなる/話したくなる並べ方はなんだろう?」「ファイリングしたままでは手に取りづらいのではないか」「チラシを持参し過ぎてしまったので、ボックスの中にもチラシを置いてみよう!」などと、来場されるかたが訪れてよかったと感じてもらえるようなレイアウトについて、検討に検討を重ね……11時に、イベントをスタートしました。

明るい時間帯には、演劇を上演する団体の主宰や制作のかたと、その団体でよくデザイナーを担当されるかたが一緒になって来場される様子がつづきました。それぞれがチラシを持参してくださり、そのなかには、次回公演のほかに、これまでに上演した公演のチラシもありました。
過去公演のチラシについては、パーソナリティが上演当時に観劇の叶わなかった(しかしチラシのデザインが魅力的で気になっていた!)ものもあり、作品内容とチラシデザインが関連していたというエピソードを聴いたときには、チラシを通じて観劇を少し、追体験した気分になり、心がとっても躍りました。
その後は、SNSでのお知らせを見たと仰るかたの来場がつづきました。芸術関係の仕事に携わるかただけでなく、演劇をよく観るかたや、デザインや紙加工の仕事に携わるかた、さらには、会場(&tenna)になじみのあるかたなども来場されました。
「デザインが興味深いと感じたチラシがある」と、ご自身で大切に保管されていたチラシを見せていただいて、そこから好きな演劇についての話が弾んだり、あるいは、「最近はどんな仕事をしていますか」「今日は西日が眩しいですね」といった、世間話で会話がつづいたりなどもしました。また、お話はせず、じっくりとチラシを眺めてくださるかたも。
「チララジまつり、」をお知らせする際、「ゲイジュツのチラシについておしゃべりする『チラシラジオ』のおまつり会」と言葉を添えていました。「お祭り」を熟知しているわけではないのですが……この言葉には、「これまでつくられた芸術のイベント(とチラシ)への感謝がしたい」と「場に人が集い、心地よい空間やつながりをつくりたい」といった願いを込めていました。
この日は、芸術のチラシが集う場所へ人が集まり、その場所が、ある人にとっては再会の場になり、ある人にとっては親交を深める場となり、またある人にとっては静かな居場所になっているような感覚を受けました。文化芸術のチラシがもつ、場づくりの力に感動するひとときでした。
持参いただいたチラシは、棚に並べ、壁にも掲示。イベントを開始した頃は少し空白の目立っていた白い壁が、どんどんと彩り豊かになり、日が暮れる頃には壁一面にチラシがあふれました。


掲示したチラシには、パーソナリティや来場者から寄せた声が添えられています。「このチラシを見てほしい」といった直球なメッセージから、そのチラシを話していたときに思わず声に出た「かわいい」といったコメント、さらに「チラシ(紙の宣伝ツール)はやはり便利」といったチラシ全体に対する言葉も寄せられました。
イベントは19時半に無事に終了。約30名のかたにご来場いただき、想像を超える賑わいで、1日の終わりを迎えることができました。


「チララジまつり、」は今後、各地域をまわっていきたいと考えています。開催日についても、平日・祝日問わず、実施していきたいです。より多くのかたに足を運んでいただけるような工夫に挑戦していきます。また、イベント内容についても、チラシの紹介の仕方(ファイリングの仕方)をアレンジしてみたり、公演団体や作家さんのトークイベントなども企画していきたいと想像しています。もし、このイベントについてご意見やご提案を思い浮かべてくださったときには、ぜひご連絡をいただけるとうれしいです。
改めて、芸術の担い手と、心を寄せてくださった全ての皆さまに感謝いたします。
文:臼田菜南
写真:ゲイジュツの空き地 メンバー
日時:2025年4月4日(金) 11:00~19:30
場所:&tenna Lounge(〒165-0034 東京都中野区大和町1-67-8 &tenna内)
運営:臼田菜南、椿凰(チラシラジオスタッフ)
ビジュアルデザイン:大石知足
主催:ゲイジュツの空き地